米国の調査機関であるエネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は21日、「日本: 再エネを通じたエネルギー安全保障の拡大:ポスト原子力経済における電力の転換」と題した調査報告書を発表した。

 同報告書では、「再生可能エネルギーの導入によって日本の電力分野の改革が可能」との分析を示した。太陽光発電は現在、日本の電源構成の4%を占めるが、「改革を進めることで2030年までに12%まで高められる」と指摘している。

 この根拠となっているのが、固定価格買取制度(FIT)の施行によって2013年から2015年までに国内で太陽光発電の容量が飛躍的に増加したこと。この期間、日本はグローバル市場でも2番目に多く太陽光の設備容量を増加させていた(図)。

グローバル市場における太陽光発電の成長の推移(2008年~2016年)。日本(橙色)は2013年から2015年まで太陽光の設備容量を大幅に増加させていることが分かる
グローバル市場における太陽光発電の成長の推移(2008年~2016年)。日本(橙色)は2013年から2015年まで太陽光の設備容量を大幅に増加させていることが分かる
(出所:IEEFA)

 ただ、FITが改正されたこともあり、太陽光の成長を持続するためには、政府が新しい政策によって下支えする必要があると分析している。コストのさらなる引き下げに関しては、現在、世界の各地で進められ、成果が上がっているメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトにおける逆オークションの導入が日本でも有望と述べている。

 電力系統における太陽光の受け入れと容量の制限に関しては、揚水発電所の活用や、地域間連系線の相互接続の強化などを取り得る対策として挙げた。

 再エネでは太陽光だけでなく、風力資源もまだ導入ポテンシャルが極めて大きいものの、これまで見過ごされてきたと指摘している。

 「陸上の風力発電に適したプロジェクトが限定的で、承認などで時間がかかるため開発が滞っているが、今後は陸上より制約の少ない洋上風力の成長性が高い」とする。風況の良い場所の案件では、設備の稼働率が45%から50%まで見込めるため、ベースロード電源にもなり得るとしている。IEEFAの試算では、2030年までに日本の洋上風力発電の容量は10GWまで増加する可能性があるという。

 このように、太陽光や風力の導入に積極的に取り組めば、日本は2030年までに電力需要の35%を再エネで賄うことが可能と指摘している。