エネルギーミックスの議論では、再エネの買取費用の上限を3.7~4兆円とした
エネルギーミックスの議論では、再エネの買取費用の上限を3.7~4兆円とした
 (出所:経済産業省)
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 経済産業省は3月18日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の2016年度における買取価格と賦課金単価を決定し、公表した。買取価格は、調達価格等算定委員会で出された委員長案通りに決定し、10kW以上の非住宅太陽光は24円/kWh(税抜)となった。

 一方、FITによって電気料金に上乗せされる賦課金総額の2016年度における想定額は1兆8025億円となり、同年度の販売電力量の想定(8025億kWh)で割ると2.25円/kWhとなり、標準家庭(300kWh/月)の場合、月額675円、年額8100円となる。

 賦課金総額は、買取費用の総額から回避可能費用と費用負担調整機関事務費を差し引いたもの。2016年度の買取費用の総額は 2兆3000億円、回避可能費用は4975億円、費用負担調整機関事務費 2.9億円と想定した。

 2015年度の買取費用の総額は1兆8370億円だったことから、2016年度の新規稼働分などによって4630億円増加すると想定している。

 経産省は、2030年の望ましいエネルギーミックスを決める議論のなかで、再エネの買取費用(年間の総額)の上限を、3.7~4兆円と設定したうえで、電源構成に占める再エネ比率を22~24%と決めた経緯がある。2016年度の時点で、すでに「上限値」の半分に達することになる。

 ただ、FIT見直しによって、買取価格40円/kWh、36円/kWh(税抜)などFIT開始当初に認定を取った未稼働案件の相当数が、新認定制度に移行できない見込みとなっている。そうなると、2017年度以降、相対的に買取価格の低い案件の稼働が中心となり、買取費用の増加が抑制される可能性もある。