米Apple社は2016年3月21日(米国時間)、患者が服薬や症状モニタリング、治療計画の管理などに使えるiOSアプリの開発者に向けて、「CareKit」と呼ぶ開発キット(ソフトウエアフレームワーク)を同年4月から提供すると発表した(プレスリリース)。

CareKitの画面例(出所:Apple社)
CareKitの画面例(出所:Apple社)
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 「ResearchKit」がデータ活用型の臨床研究に向けた開発キットだったのに対し、CareKitはその名の通り、患者自らが疾病ケアに自主的に関わることを可能にするもの。患者が管理する情報を、医師や家族と共有できるようにする機能も実装した。

 適用対象としては、パーキンソン病や術後のモニタリング、家庭での健康モニタリング、糖尿病管理、メンタルヘルスや妊婦の健康のモニタリングなどを挙げている。アプリ開発のための基本モジュールとして、「Care Card」「Symptom and Measurement Tracker」「Insight Dashboard」「Connect」の4つを用意する。

 Care Cardは、服薬やリハビリといった治療計画とそのための行動管理に使う。治療のための活動をApple WatchやiPhoneで自動収集できる。Symptom and Measurement Trackerは、症状や気分などの記録に使う。傷の具合を写真で記録したり、iPhone内蔵の加速度センサーやジャイロセンサーで行動範囲を定量化したりする。Insight Dashboardは、Care Cardで収集した行動と、症状のデータから、治療がうまくいっているかどうかを評価する。Connectでは患者の状態やその急変を、医師やケア関係者、家族などと簡単に共有できる。