キヤノンは2016年3月17日、東芝メディカルシステムズの株式を東芝から取得し、子会社化することを決定した(ニュースリリース 関連記事)。同日、東芝と株式等譲渡契約書を締結した。子会社化は「所要の競争法規制当局のクリアランスの取得を条件とする」(キヤノン)。

 キヤノンは2016年からの新5カ年計画において、「戦略的大転換を果たし、新たなる成長に挑戦する」ことを基本方針に掲げる。特に、重要戦略と定める「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」において、ヘルスケア事業を「次世代の柱の一つとして成長させたい」(キヤノン)。東芝メディカルをグループ傘下に収めることで「世界に貢献できるヘルスケア事業基盤を強固なものにしていきたい」(同社)。

 東芝メディカルの子会社化により、次のような効果が期待できるとする。(1)新分野への進出の加速、(2)生産技術の共有によるさらなる品質向上、(3)開発力強化による事業領域の拡大。

 (1)については、東芝メディカルが強みを持つ画像診断をコアに、M&Aを含めた戦略投資を通じ、体外診断事業や次世代医療IT事業、バイオメディカル事業などを強化していく。キヤノンが持つビジネスポートフォリオやパートナーシップも活用するという。

 (2)については、生産技術に長けたキヤノンと製品開発に長けた東芝メディカルが手を組むことで、精密設計・微細加工技術の提供や生産体制の最適化、品質向上への協働を通した、東芝メディカルの製品力強化が期待できるとする。経営の効率化によって創出した資金は、次世代医療機器への開発投資へ循環させる。

 (3)については、キヤノンはX線高速動画センサー技術をはじめとするイメージングデバイス技術、光超音波トモグラフィー技術、医療用ロボットシステム技術などを持つ。これらの技術と東芝メディカルの研究開発力を生かし、共に技術開発を進めていくことで、革新的な新製品やサービスをグローバルに提供していけるとする。