路肩に自動停止
路肩に自動停止
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運転者が意識を失った場合を想定
運転者が意識を失った場合を想定
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ステアリングコラムのカメラで顔の向きや目の開き具合を検知
ステアリングコラムのカメラで顔の向きや目の開き具合を検知
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 アイシングループは2016年2月に北海道で実施した試乗会で、運転者の状態を検出するカメラを使い、体調が急変した場合、路肩に車両を停止させる技術をデモンストレーションした。同技術は2015年10月にフランスのボルドー市で開かれた「ITS世界会議2015」に出展したもので、国内で公開したのは初めて。

 運転者を監視するカメラはステアリングコラムに取り付けており、運転者の顔を認識し、まず登録されているユーザーかどうか判断する。試乗では、登録されていない「ゲスト」として実験を始めた。カメラは、顔の向きや目の開き具合を検出し、運転者がどのような状態で運転しているかを判定する。顔が正面に向いていなかったり、目が閉じているなど運転者が正常に運転していないとクルマが判断した場合、ステアリングを操作するとともにブレーキをかけることで路肩に停止させる。

 デモでは、40km/hで正常に運転している状態から、運転手が目を閉じてハンドルに前かがみになる動作を実施した。すると、車両側から「アーユーオールライト?」との音声が流れるとともに、断続的な警報音が発せられた。デモでは、それでも運転者が反応しなかったため、警報音が連続音に変わりながら車両がステアリングを切って路肩に自動的に停止した。現在は、周囲の障害物を検知しながら止まるといった機能は入っていないが、将来は安全な場所を検知して止まる機能も盛り込まれるとみられる。

 路肩に停止する際には、ステアリングを操作する必要があるが、運転者が抱え込むような状態になるとより大きなトルクが必要になる。そうした場面を想定して、試験車では後輪を操舵する4WS(4輪操舵)機構を装着し、後輪の操舵だけで進路を変えられるようにした。後輪の操舵角は4.5度程度である。

 停止後も運転者からの反応がない場合は、車両から自動的に緊急通報するといったことも考えられるという。実用化時期については明言していないが、2020年頃を目指しているとみられる。