「太陽光発電などの技術で途上国の過疎地域で、今後数十億人が新たにインターネットを利用できるようになる」――。米Bloomberg New Energy Finance(BNEF)と米Facebookは2月26日、こんな調査結果を発表した。

 途上国の過疎地域に居住する人々がインターネットにアクセスするには、手頃かつ信頼できる電力アクセスを拡大する必要がある。その電力供給ネットワークの「ラストワンマイル」に太陽光発電が大きな役割を発揮すると予測している。

 調査レポート「Powering Last-Mile Connectivity」によると、途上国のオフグリッド地域(系統電力が届かない過疎地域)に居住する人々は、小規模なキオスクで携帯電話を充電するために一週間で合計最長15kmの距離を移動し、地域によっては充電サービスのコストがスマートフォンの所有コストの3分の1(月2~7ドル)を超え、かつ家庭収入の相当部分を占める(図1)。

図1●オフグリッド地域におけるスマートフォンの推定所有コスト
図1●オフグリッド地域におけるスマートフォンの推定所有コスト
(出所:Bloomberg New Energy Finance,ICT Africa,Facebook)(注:充電コスト・Vendor chargingは黄色部分。スマートフォン機器などハンドセットは36カ月に分割されると仮定。1週間当たりの充電回数は5回とした)
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 途上国の過疎地域における通信インフラやコミュニティに対する電力供給源としては、小規模太陽光発電と蓄電池が注目されつつあり、これらの技術の主要部分のコストが急激に低下を続けている。電力アクセスビジネスを行う企業は、家庭向けポータブル太陽電光発電キットや村のコミュニティや携帯基地局に電力供給するマイクログリッドなど、消費者がインターネット接続するための電力供給ソリューションを提供している。

 また、携帯電話ネットワークがより広範な地域に拡大するには、新たな基地局を建設する必要がある。しかし、途上国の過疎地域では、割高な電力を使わざるを得ないだけでなく、地域の人口密度が低いため通信サービスが生み出す収益も限られる。そこで、通信インフラ向けの電力供給手段として、安価かつ分散型の太陽光発電や、より小規模かつ高効率な基地局の活用が求められるという。

 太陽光発電、ディーゼル発電機、蓄電池を組み合わせたハイブリッド型のエネルギーシステムを利用することで、移動体通信事業者や基地局タワーの運用企業は、オフグリッド地域の基地局の電力コストを、ディーゼル発電だけを利用する場合と比較して、最大で推定54%削減できると試算する(図2)。

図2●太陽光ハイブリッドシステムを用いる場合、オフグリッド携帯基地局の電力コストは、ディーゼル発電機のみを利用する場合より最大54%低下
図2●太陽光ハイブリッドシステムを用いる場合、オフグリッド携帯基地局の電力コストは、ディーゼル発電機のみを利用する場合より最大54%低下
(出所:Bloomberg New Energy Financeによる企業インタビュー,Homer Pro)(注:ディーゼル発電用燃料の運搬コストは考慮されていない)
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