韓国ハンファQセルズは3月4日、米国とドイツで高効率太陽電池セル(発電素子)に関する特許侵害訴訟を提起したと発表した。米国では中国Jinko Solar、中国LONGi Solar、ノルウェーREC Groupの3社、ドイツではJinko SolarとREC Groupの2社が対象となる。

 訴訟の対象となる技術は、太陽発電セルの裏面にパッシベーション層を形成することで、従来無駄になっていた太陽光のエネルギーをセル裏面の層に閉じ込めて発電効率を高める技術。セルに酸化アルミニウム成分の第1層と、水素を含む異なる成分でできた第2層から構成された膜を安定的に形成する技術について特許を取得し、高効率太陽電池セルの量産を可能にした。

 同社は、特許技術を用いて2012年にPERC(Passivated Emitter Rear Cell:裏面不動態式セル)技術をベースとした高効率セル「Q.ANTUMセル」を量産化した。2018年末までに累計10GW以上のQ.ANTUMセルを量産している。同社によると、長年にわたり研究開発および投資を続けて技術を向上させており、自社技術を保護するため関連特許を多数出願しているという。

 特許侵害訴訟では、当該技術を侵害した被告企業の太陽電池セルおよびモジュール(パネル)について、提供が行われた国での販売および輸入の禁止を求めている。また、特許侵害による過去の損害について賠償請求を行うことも示唆している。

訴訟の対象となったQ.ANTUMテクノロジーの説明図
訴訟の対象となったQ.ANTUMテクノロジーの説明図
(出所:ハンファQセルズ)
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