欧州の太陽光発電業界団体であるSolarPower Europe(SPE)は2月20日、欧州連合(EU)域内の28カ国が2018年に前年比35%増となる約8GWの太陽光発電システムを導入したとの調査結果を発表した(図1)(関連記事1:「EUで太陽光設備の需要が前年比60%増、9.5GWに拡大」)。
2017年に欧州で電力系統に接続された太陽光の導入量は5.9GWだった。欧州全体では、2017年の9.2GWと比較して約20%増となる11GWの太陽光発電が導入されたという。
2018年の太陽光発電で欧州最大の市場はドイツで、2017年に導入された1.76GWから68%増の2.96GWの設備容量が電力系統に接続された(図2)。
2018年の2番目に大きな太陽光の市場は、1.64GWの容量を導入したトルコだった。同国は2017年に約2.6GWでトップだったが、金融情勢の悪化により需要が下落したため、2018年は37%減となった。
3番目に大きな市場はオランダで、2017年の0.77GWから80%以上の増加となる1.4GWの太陽光発電を2018年に導入した。2018年に初めて導入量が1GWを超え、同国は「ソーラー・ギガワット・クラブ」の仲間入りを果たした。
SPEのWalburga Hemetsberger CEOは、「欧州が再び太陽光をフルに受け入れている状況になったのは喜ばしい。融通が利き最も低コストで人気のあるエネルギー源である太陽光発電の普及は、コスト下落が続いていることもあり、まだ始まったばかりだ」と述べている。
EUでは当局が太陽光パネルの最低輸入価格(MIP)を策定して、中国などからの低価格の輸入品から域内の太陽光産業を保護しようとした。
ところが、それでも域内メーカーの価格競争力が、輸入品の価格下落に追いつかず、域内メーカーの大半が経営破たんや市場からの撤退、廃業などに追い込まれた(関連記事2:「ドイツの太陽光パネル大手、ソーラーワールドが経営破たん」)。
結果的に、EUは2018年9月にMIPなどの保護的な政策を撤廃し、現在に至っている(関連記事3:「『太陽光製造設備・5GWの復活を!』、欧州団体がキャンペーン」。