経済産業省・資源エネルギー庁は2月22日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第3回)を開催し、「日本版コネクト&マネージ(C&M)」など、系統制約の克服に向けた短中期的な方向性を示した。

 ローカル系統の制約に関して、日本版C&Mなど、2018年度以降、新たな連系方式を採用する(関連記事)。加えて、今春にも実施される可能性のあるエリア全体の需給バランスの維持に伴う再エネへの出力抑制の方法に関し、エネ庁が改善案を示した。

 議論になったのは、出力抑制の実施に伴う売電量の機会損失に関し、いかに再エネ事業者間の公平性を保つかという論点。現在の方式では、年単位で出力抑制の機会が均等になるように順番に抑制指令を出すという仕組みになっている。

 22日の会合では、事務局から、「実際に出力抑制を行う事業者は大規模事業者に限定し、事後に経済損失が均等になるように調整する」という手法が提案された。大規模事業者の場合、遠隔での出力制御システムが装備されており、直前の天気予想などに応じた柔軟な出力制御が可能なうえ、対象事業者を減らすことで、制御作業が効率化される利点がある。

経済的な調整のイメージ
経済的な調整のイメージ
(出所:経済産業省)
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 こうした「経済的に調整する手法」の方向性に関しては、支持する委員が大勢で、今後、エネ庁は逸失利益の算定方法やその調整など、具体的な方法に関して制度設計を進める。ただ、「検討事項が多いため、実際の導入には相当の時間を要する見込み」とし、まずは従来手法での出力制御が始まり、制度設計が済み次第、切り替えることになりそうだ。

 出力制御については、九州電力が今春にも抑制指令を出す可能性があり、従来手法を前提に準備を進めている。特別高圧連系発電所に関しては100%対応が完了している一方、手動制御となる高圧500kW以上の高圧連系発電所(約2000件)に対する発令訓練では4~8%が受令の連絡がないこと、自動制御となる10kW以上の低圧連系発電所(1万3700件)のうち1万件以上となる76%が出力制御付きパワーコンディショナー(PCS)への切り替えが済んでいない(2017年12月末時点)など、小規模太陽光になるほど、対応の遅れが目立っている。

 九電では、出力抑制に協力しない事業者に対し、「契約解除も視野に入れて厳正に対処する」との対応を示すなど、出力抑制の実効性と公平性を確保するのに躍起になっている。

 エネ庁の提案した「大規模事業者に絞って出力抑制して、経済的に調整する」という方向性は、こうした出力抑制を実施する現場での実態を踏まえたものと言えそうだ。