国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は2月18日、エネルギー転換の先進国では消費するエネルギーの33%以上を太陽光や風力などの変動型の再生可能エネルギー(VRE)で賄っており、その過程でイノベーションがカギを握るとする調査結果を発表した(図1)。
ベルギーのブリュッセルで欧州委員会(EC)が開催した公式イベントにおいて同機関が公開した新しいレポート「再生可能エネルギーが支える未来のためのイノベーション展望:変動型の再エネを統合するソリューション」によるもの(図2)。
費用対効果の高いエネルギー転換を世界全体で進めるうえで、高い比率で再エネを電力系統網に統合することを可能とする革新的なソリューションを活用すること、つまりイノベーションが極めて重要な役割を果たすとする。
電力分野を変革するイノベーションのマッピングや分析といった調査を行ったのは、同報告書が初めてという。
同報告書では、異なる革新的なソリューション間の相乗効果が、変動性の再エネを高い比率で電力網に統合するコストをどのように引き下げているかを示している(図3)。
IRENAは既に発表済みのロードマップにおいて、パリ合意の目標に沿って世界全体の電力分野を脱炭素化するためには、2050年までに電源構成の再エネ比率を85%にする必要があると見積もっている(関連記事1)(関連記事2)。
その時点で、電源構成の再エネ85%の中でも60%を太陽光や風力といった変動型の再エネが占めるだろうとしている。
再エネの電力を大量かつ高い費用対効果で導入することが極めて重要となる新しいフェーズに移行するうえで、デジタル化や分散化、エネルギー消費における電化、といったイノベーションのトレンドが、電力分野の転換を強力にけん引するという。
同報告書では、4つの次元においてカギとなる30個のイノベーションと11個の革新的なソリューションについて分析している。
4つの次元とは、変革を実現する技術、ビジネスモデル、市場設計、システム運用である。
変革を実現する技術としては、蓄電池や電気自動車(EV)、ブロックチェーンなどを挙げている。
同様に、ビジネスモデルとしては「Energy-as-a-Service」(EaaS)や再エネのアグリゲータを、市場設計では時間帯別(Time-of-Use)電気料金、システム運用では配電事業者(DSO)の権限拡大などを挙げた。