サンテックパワージャパンのガオ・ジャン社長
サンテックパワージャパンのガオ・ジャン社長
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
全世界での発電事業や太陽光パネル事業の概要
全世界での発電事業や太陽光パネル事業の概要
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 中国の大手太陽光パネルメーカー、無錫サンテックパワー(Wuxi Suntech Power)の日本法人であるサンテックパワージャパン(東京都新宿区)は2月24日、東京都内で報道機関など向けに事業戦略説明会を開催した。

 サンテックパワージャパンは、かつては中国サンテックパワーホールディングス(サンテックパワーHD)の傘下だった。サンテックパワーグループの経営危機に伴い、同社から事業を引き継いだ、無錫サンテックパワーの日本法人となっている。

 無錫サンテックパワーを買収した、順風光電国際有限公司(Shunfeng Photovoltaic International)は、2015年1月に、順風インターナショナルクリーンエナジー(Shunfeng International Clean Energy)と改名し、サンテックの太陽光パネル販売や発電事業を軸に、総合的なクリーンエネルギー事業に幅を広げている。

 太陽光パネル販売から、発電システム販売、発電事業やO&M(運用・保守)まで広げたほか、地熱熱ヒートポンプ、蓄電池を使ったエネルギー貯蔵システム、LED照明、などを手がけている。

 こうした新たな分野では、世界的な企業を買収して事業を広げている。ドイツのEPC(設計・調達・施工)サービス企業であるS.A.G. Solar社、ドイツのパワーコンディショナーメーカーであるSunways社、太陽光発電の遠隔監視・制御システムのドイツmeteo control社、米国の蓄電池企業であるpowin社、地中熱ヒートポンプのデンマーク・中国Nobao Renewable Energy社、LED関連の中国LatticePower社などである。

 事業領域の拡大は、世界各国の大手太陽光パネルメーカーに共通した戦略である。

 太陽光パネルの販売だけに頼った事業では、拡販と製造コストの低減による効果に限界があり、生産能力の拡大に伴う固定費の上昇や、供給過剰による想定以上の価格下落の影響を受けながら、経営危機に陥る大手メーカーが数年おきに出てきている状況にある。サンテックも、その1社となった。

 無錫サンテックパワーの太陽光パネル生産能力は2.2GWで、2015年4月時点の累計出荷量は9GWとなっている。

 再出発にあたり、順風グループは、太陽光発電を核に、建物や地域ごとのエネルギー関連分野に広く関わる方針を採る。

 日本においても、固定価格買取制度(FIT)に基づく事業用の太陽光パネル販売が、2~3年後にはピークを越えると見られる。それまでに、こうした新たな事業の基礎を築き、その後に備えるという方向を示した。