米Mentor Graphics社は、同社の論理エミュレーター「Veloce」に向けて、3種のアプリケーションソフトウエアの追加を発表した。近年、半導体チップの複雑化が進んでおり、十分な論理検証をすることができずに半導体由来の事故を起こす事例が目立っているという。論理エミュレーターと目的別に用意されたアプリケーションソフトウエアを活用することで、目的に合わせた検証を短時間で行えるとする。

 今回発表したアプリケーションソフトウエアは3種。1つは、外付けデバイスを加えたときに生じる不具合を、デバッグ時に100%再現する「Veloce Deterministic ICE」。これは、EthernetやUSBなどのポートといった外付けデバイスを接続している場合、問題が生じてもデバッグ時に不具合がうまく再現されないことがあるという課題を解決するためのもの。外付けデバイスをつないだ状態でICE(In Circuit Emulation)を行う間、Veloceの可視化機能を使って挙動を“リプレイデータベース”に保存しておく。問題があった場合は、録画を再生するようにリプレイデータベースから問題個所を再現するので、必ず不具合が再現できる。

 2つめは、テープアウト前に検証を行えるようになる「Veloce DFT」。ゲートレベルでのDFT(Design for Test)検証の実行時間を短縮できるため、テープアウト前にDFT検証を行うことができ、大きな故障リスク低減や歩留り向上につながるとする。例えばWide I/Oの設計の場合、83.3日かかっていたDFTシミュレーションがVeloce DFTを使えば120分(2時間)で完了したという。

 もう1つは、大規模なマルチクロックSoC設計の検証時間を最適化する「Veloce FastPath」。信号伝播速度が遅いクリティカルパスを認識し、エミュレーションの実行時間を最適化するという。実行速度を2倍以上に高めるとする。