ターボ機械を設計・製造する荏原エリオット(エリオットグループ、本社千葉県袖ケ浦市)は、PLM/ERP連携システムを稼働させたのを機に、受注生産品を効率的に3D設計する取り組みについて明らかにした(関連記事)。受注した案件の設計を開始する時点でBOM(部品表、Bill of Materials)をPLMシステムに登録し、このBOMに対して部品の3Dモデルを追加して設計を完了させる。完成したBOMは、購買・手配業務を担うERPシステムに転送する。PLMシステムを介して、米国拠点との間での設計作業の分担する試みも開始している。

最初に製品構成を決定

 同社の製品であるターボ機械は、流体の流れと機械の回転運動の間でエネルギーを変換する機能を持つ設備装置(図1)。コンプレッサー、ブロワー、蒸気タービン、ガスエキスパンダー、ガスタービンなどがある。以下、コンプレッサーの設計プロセスを例に同社の取り組みを説明する。

図1 荏原エリオットの製品であるターボ機械
図1 荏原エリオットの製品であるターボ機械(コンプレッサー)
BOMの項目数(サブアセンブリを含めた品目数)は500~600。
[画像のクリックで拡大表示]

 荏原エリオットは顧客から受注した後、要求仕様に応じて個別に設計し、生産する。従って製品は1つひとつ仕様が異なるが、製品の構成(どのような種類の部品で構成されるのかということ)は共通する場合が多い。例えばコンプレッサーの場合、「製品構成は3パターンのどれかになる」(コンプレッサー設計部詳細設計課課長の石塚一晴氏)ことから、各部品の具体的な形状を設計(詳細設計)する前に構成を決定できる。「仕様がどうであっても、コンプレッサーには『アウターケーシング』が必ず存在することには変わりはない」(同氏)からだ。

 こうして決定した製品の構成情報をPLMシステムに登録する*1。以後は、このBOMを枠組みとして部品の詳細設計を進めていく。BOMの項目数(サブアセンブリを含めた品目数)は製品構成によって異なるが、およぞ500~600になる。

*1 PLMシステムは「PTC Windchill」(米PTC社)を基に構築した。システム構築は新日鉄住金ソリューションズ(本社東京)が担当した。