営農型太陽光の許可件数の累積推移
営農型太陽光の許可件数の累積推移
(出所:千葉大学)
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 千葉大学とNPO法人・地域持続研究所は2月8日、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に関する実態調査の結果を発表した。それによると、許可件数は、4年間で6倍以上に増える一方で、日陰でも育つ特定の作物が選ばれる傾向にあるなど育成品種に課題があることも分かった。

 調査対象は一定の基準を超える農地面積を持つ農業委員会(沖縄県は全農業委員会)1465カ所で、郵送によるアンケート調査を実施した。回答数は1174件(回答率80.1%)。調査時期は2018年10月。

 調査結果によると、ソーラーシェアリングのための農地転用許可件数は、2018年8月末時点で1347件となった。2014年(217件)と比較すると4年間で6.2倍に増加した。都道府県別では千葉県が313件、静岡県が173件、群馬県が132件と多かった。一方、「太陽光パネルの下で十分に営農できないと思う」が58.8%、「わざわざ農地の上で太陽光発電をしなくてもいいと思う」が48.0%と、ソーラーシェアリングに懐疑的な農業委員会も多かった。

 作付け作物は、ミョウガが65カ所、サカキが41カ所、コメが35カ所、シイタケが31カ所と、遮光率が高くても育成可能な品種が選ばれる傾向にあり、シイタケや薬用ニンジンなど遮光率100%の事例も見られた。また、許可件数の多い市町村では、雑草対策のため芝に代わるグランドカバーとして育成されるダイカンドラやレッドクローバー(紫ツメクサ)が集中的に栽培されていた。

 調査を行った千葉大学によると、本来は太陽光発電と営農を両立するのが目的のソーラーシェアリングにおいて、グランドカバー品種や遮光率100%品種の作付けが適切かどうか疑問も残ると指摘。このように従来の作付け品種と全く異なる品種が選ばれることを問題視する。今後、国は営農につながらないソーラーシェアリング案件を抑制する取り組みを進めるとともに、国や県がソーラーシェアリングとして推奨する品種と適正な遮光率水準などを地域ごとに示し、健全なソーラーシェアリングを育成することが必要としている。