DMG森精機代表取締役社長の森雅彦氏
DMG森精機代表取締役社長の森雅彦氏
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 「この2年ほどは投資家との対話や資金調達に忙殺されていた。これからは社長として、顧客や社内を見ながら仕事を進められる」。DMG森精機が2017年2月10日に開催した2016年度決算説明会の場で、同社代表取締役社長の森雅彦氏はこのように語った(決算短信決算説明資料)。子会社であるドイツDMG Mori社(旧Gildemeister社)との経営統合に伴う重複資産やノンコア事業の整理にメドが付き、2017年からは再び成長を目指す体制が整ったという。

 DMG森精機の2016年度(同年1~12月)連結決算は、売上高が3766億3100万円(前年度は3742億9000万円)、営業利益は19億6100万円(同399億6800万円)だった。DMG Mori社との経営統合の過程で、千葉や中国・上海の工場を閉鎖したり、エネルギー事業を売却したりするなど、重複資産やノンコア事業の整理を進めており、それにかかった143億円を2016年度連結決算の「一過性費用」として計上した。DMG森精機が採用している国際財務報告基準(IFRS)では、一過性費用も営業利益の項目に含まれるため、大幅な営業減益要因となった。

 前述の通り、重複資産やノンコア事業の整理にはメドが付いており、2017年度は「収益改善が確認できる決算になる」(森氏)。直近の2016年第4四半期(同年10~12月)だけを見ると、一過性費用を除いた営業利益は96億円を計上しており、利益の出る体質に戻りつつあるという。2017年度通期の連結決算は、売上高が3800億円、営業利益が220億円を見込んでいる。

 2017年度は市況という点でも2016年度に比べて全般的に上向きであり、連結での円建ての受注額は3850億円(2016年度比4.9%増)としている。地域別に見ると、欧州や北米が引き続き好調を維持し、さらに日本や中国が改善する。業種別では、自動車は堅調に推移、航空機や医療では新規投資が期待でき、一般機械もIoT対応などに伴う受注が増えている。2016年度はやや低迷したエレクトロニクスも2017年度は持ち直すという。