積雪と雲の判別は難しかった
積雪と雲の判別は難しかった
(出所:日本気象協会)
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可視光と近赤外光に対する雪の特性を使う
可視光と近赤外光に対する雪の特性を使う
(出所:日本気象協会)
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推定日射量の精度を10%向上
推定日射量の精度を10%向上
(出所:日本気象協会)
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 日本気象協会は2月1日、雲と積雪を判別して推定日射量の精度を10%向上する技術を実用化し、太陽光発電向けの日射量推定サービスに導入すると発表した。

 気象衛星「ひまわり8号」で観測が開始された、近赤外光の波長帯を活用する。これまで、区別することが難しかった雲と積雪を、リアルタイムに判別する技術を開発した。

 積雪には、可視光に対して高反射率、近赤外光に対して高吸収率となる特性がある。この特性を利用する。

 ひまわり8号の可視光と近赤外光の値から、雲と積雪を判別する。ひまわり8号の観測波長帯の数が、7号より増えたことにより、この判別が可能となった。

 この技術を、衛星推定日射量の配信サービス「SOLASAT 8-Now(ソラサットエイトナウ)」に導入し、従来よりも精度が向上したサービスの提供を開始している。

 衛星推定日射量とは、気象衛星が観測したデータを活用し、地上の日射量を推定する技術である。「SOLASAT 8-Now」は、ひまわり8号のデータを使うことで、更新頻度が短く、解像度が高いという特徴がある。

 ただし、これまでの手法では、冬季の積雪地域において、雲と積雪をリアルタイムに判別することが難しく、日射量を過小に推定する場合があった。

 この課題を改善したもので、開発した技術は、北海道や東北地方など積雪の多い地域に導入する。北陸地方や関東地方についても、順次、導入していく予定としている。

 雲と積雪をリアルタイムに判別する技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「太陽光発電システムの高精度発電量評価技術の開発」で開発中の成果の一部を利用した。