浜松市内のメガソーラー 
浜松市内のメガソーラー 
(出所:浜松市)
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 浜松市と民間企業が出資して昨年11月に設立した浜松新電力(浜松市)は、2016年4月から、同市内の高圧需要家向けに電力小売りを開始する。市内にある電源から調達し、市内の公共施設や民間企業の施設などに電力を供給する「電力の地産地消」を目指す。

 すでに浜松新電力は約11MW分の電源確保にめどを付けている。同市の清掃工場でのバイオマス(廃棄物)発電(約1.5MW)のほか、出資企業である遠州鉄道、須山建設、中村建設の保有するメガソーラー(大規模太陽光発電所)などから調達する。

 バイオマス発電は、固定価格買取制度(FIT)を利用していないので、公表する電源構成には「再生可能エネルギー」として記載する。一方、メガソーラーに関しては、FITを活用しているため、「FIT電気」との表示になる。

 浜松新電力は、「FIT電気+再エネ(バイオマス発電)」を主体に需要家の全電力を供給する方針。ベースロードをバイオマス発電が担い、日中の需要増加分に太陽光発電の電力を活用する。まず、こうした供給パターンに合った需要ロードを持つ顧客を中心とし、需給バランスを合わせることで、市内の「FIT電気+再エネ」で100%の電源構成となる電力を市内の施設に供給することを目指すという。

 新電力に出資するのは、浜松市(8.33%)のほか、NECキャピタルソリューション(25%)、NTTファシリティーズ(25%)、中部ガス(8.33%)、遠州鉄道(8.33%)、須山建設(8.33%)、中村建設(8.33%)、静岡銀行(4.17%)、浜松信用金庫(4.17%)となる。需給調整業務は、NTTファシリティーズが担当する。

 浜松市では、再エネやコージェネレーション(熱電併給)を大量導入し、地域エネルギー管理システム(CEMS)によって、需給調整する「スマートシティ・浜松」の構想を持っている。浜松新電力は、将来的にこうした構想と連携し、需要家に対するデマンドレスポンス(需要応答)や蓄電池によって、需給バランスを達成する手法にも取り組む。