デンケンの運営するメガソーラー
デンケンの運営するメガソーラー
(出所:新電力おおいた)
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 新電力おおいた(大分県由布市)は、2016年4月から高圧需要家向け、同年10月から低圧需要家向けに電力を供給する。同社は、半導体・太陽電池などの検査装置を手掛けるデンケン(由布市)が2015年8月に設立した。デンケンの保有するメガソーラー(大規模太陽光発電所)などの電力を活用し、エネルギーの地産地消に取り組む。

 すでに今年1月からデンケンの4工場に、契約電力で約500kW分の電力を供給している。県内のメガソーラーの電力を活用し、九州電力と契約した「常時バックアップ」を活用して、需給バランスを維持しているという。

 利用する地域由来電源は、固定価格買取制度(FIT)を活用したデンケン所有の約20MWのメガソーラーのほか、既存の水力発電などFIT適用外となる再生可能エネルギーの調達も検討している。負荷率の低い需要家に対してピーク時に供給する「部分供給」も含め、エネルギーの地産地消と再エネ活用、電気代削減を同時に達成することを目指すという。

 同社では、地域活性化の一環として、HEMS(住宅エネルギー管理システム)を活用したスマートコミュニティの形成を目指し、大分県佐伯市で実証事業を推進している。同実証プロジェクトは、大分県エネルギー産業企業会の電力自由化ワーキンググループの活動事業で、新電力おおいたのほか地元企業9社と佐伯市が参加している。

 佐伯市内の住宅120軒にHEMSを、佐伯市の所有する10件の高圧受電施設にBEMS(ビルエネルギー管理システム)を取り付けた。エネルギーの地産地消による電力の需給シミュレーションを通じ、需給バランスを維持するノウハウを蓄積する。

 同プロジェクトでは、ECONET-Liteに対応したデンケン製のHEMS用ゲートウエイを導入する。エネルギーの可視化(見える化)に加え、一人暮らし高齢者の見守りサービスや、市と連携した防災アナウンスなどの社会実験にも取り組む。