試作したキャパシタの外観 
試作したキャパシタの外観 
(出所:芝浦工業大学)
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試作したキャパシタの構造 
試作したキャパシタの構造 
(出所:芝浦工業大学)
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 芝浦工業大学は1月27日、短時間に充放電でき、大容量の電気を蓄えられる蓄電装置(電気二重層コンデンサ:キャパシタ)を開発する要素技術を確立したと発表した。同大・電気工学科の松本聡教授とMICC TEC(東京都新宿区)との共同研究による成果という。

 グラフェンにリチウムを加えた新材料を電極に用いることで、従来の活性炭を使ったキャパシタに比べ、約2倍のエネルギーを蓄電できることを見出した。

 太陽光や風力発電など、変動性の再生可能エネルギーを充電し、需要に合わせて無駄なく利用できるほか、電気自動車(EV)のブレーキ時の運動エネルギーを電気として蓄え、回生してモーターの駆動エネルギーに充てるなどの用途も期待できるという。

 松本教授は、ナノ材料であるグラフェンにリチウムを練り混ぜた新材料をキャパシタの電極に用いることで、大容量の蓄電が可能になることを解明した。電極の隙間にグラフェンが入り込み、表面積が増加することで、蓄えられる電力量が増すという。新材料として、MICC TECが開発した「還元型酸化グラフェン」を使った。

 今後、試作したキャパシタを「急速に充放電できる、小型・高性能な大容量蓄電装置」として、再生可能エネルギーやEV、電子機器などで実用化できるよう、使用用途に合わせた電気特性の評価などを進めるとしている。