米エネルギー省(DOE)は1月24日、米国の太陽電池や太陽光パネルの製造業を再び活性化するために、賞金300万ドルの公募「アメリカン・メイド・ソーラー・プライズ(American Made Solar Prize)」を実施すると発表した。

 同公募によって、米国内の起業家が太陽電池や太陽光パネルの新しい製品や製造工程を開発することを促し、太陽光発電市場における米国企業の主導権を取り戻したいとしている。

図●米DOEが2017年に資金4億ドルを太陽光発電に割り当てたことを示す資料
図●米DOEが2017年に資金4億ドルを太陽光発電に割り当てたことを示す資料
(出所:DOE)
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 DOEは2017年にも合計4億ドルまでの資金を太陽光関連プロジェクトや技術開発に拠出している(図)。今回の公募を追加することで、太陽光に関連する製造業において、イノベーションを創出するためのハードルをさらに下げる狙いがある。

 DOEのリック・ペリー長官は、「米国には、太陽光の技術で世界をリードする人材、知見や経験、ビジョンがある。今回の公募で起業家に刺激を与え、DOE(傘下の研究機関)が開発した初期段階の技術やイノベーションを活用してもらうことで、究極的には米国製品を市場に送り出したい」と述べている。

 同公募ではDOEの太陽光エネルギー技術局(SETO)が資金を提供し、DOE傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が運営を担当する。

 米国では、1月22日にトランプ政権が輸入品のシリコン製太陽電池や太陽光パネルに対する追加関税を課すことを発表したばかり(関連記事1)(関連記事2)。

 今回の公募を発表したタイミングをみる限り、トランプ政権が同関税の発表直後を狙っていた可能性が高い。

 つまり、輸入太陽電池や太陽光パネルへの追加関税を「ムチ」とすれば、同公募やそれに関連した事業化の奨励施策は「アメ」と言える。

 トランプ政権が「アメ」と「ムチ」を使い分けることで、低価格の輸入品に依存せず太陽光発電に関連する製造業を米国内で復活させることができるのか、今後注目される。