自治体新電力事業で協定を結んだ
自治体新電力事業で協定を結んだ
(出所:加賀市総合サービス)
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 石川県加賀市は、同市が100%出資する公共サービス企業である加賀市総合サービス(加賀市)を通じて「自治体新電力」事業に取り組む。市内のエネルギー需要を地産の再生可能エネルギーで賄う「加賀市版RE100」を目指す。

 1月17日に加賀市と加賀市総合サービスとで自治体新電力事業に関する協定を取り交わした。1月22日付で加賀市総合サービスが小売電気事業者として登録を完了し、4月から公共施設への電力供給を開始する。

 同市では、人口減少や資金の市外流出などによる市全体の活力低下が課題となっており、電気料金だけでも約100億円が市外に流出しているという。同事業では、エネルギーの完全な自給自足によって地域内での経済循環を実現し、地域経済を活性する。

 当初は公共施設約230カ所への電力供給を、北陸電力から順次自社調達へ切り替えていく。調達電力は、日本卸電力取引所(JEPX)からの買い取りを中心に、太陽光発電や小水力発電による電力の確保を進めていく。

 すべての公共施設への供給体制が整った場合、年間約4億5000万円の売り上げが見込まれる。将来的には、地域内で再生可能エネルギーを供給できる体制を整備し、地域経済循環や雇用創出を目指す。今後20年間の事業活動によって50~60億円の経済波及効果が期待できるという。

 同市によると、自治体100%出資の株式会社による電力事業は全国初で、北陸初の自治体新電力になるという。再エネ発電施設(供給)が起点の「地産・地消」ではなく、地域ニーズ(需要)を起点とする「地消・地産」の電力事業を目指すとしている。