中国政府機関の国家発展改革委員会(NDRC)と国家エネルギー局(NEA)は1月10日、風力発電と太陽光発電のさらなる導入を推進するために、従来定めていた割り当てを撤廃し、中央政府による補助金もゼロとする新政策を発表した。

 風力発電や太陽光発電の技術が進歩し建設コストが過去数年で大幅に下落したため、グリッドパリティでのプロジェクトの導入・運用が可能としている。

 ここで言う「グリッドパリティ」では、主力電源として石炭火力発電を前提としており、中国政府が風力や太陽光といった再生可能エネルギーの発電コストが石炭火力と同程度まで下落しているとの認識を公に示したことになる。

 中央政府による割り当てや補助金は原則としてなくなるが、引き続き再エネの積極的な導入を進める。ただ、甘粛省や新疆ウイグル自治区など系統容量などの制約によって再エネ電源の大量の連系が困難な一部地域では新規の発電所建設は認可されないという。

 中国は従来、再エネの大量導入を推進するため固定価格買取制度などの施策を定めていた。ところが、補助金の額が2017年の時点で850億ドルに達するなど、従来の制度の継続が困難な状況となったため、2018年5月31日に引き締め策を発表していた(関連記事1:どうなる中国の太陽光市場!?「補助金に頼らない太陽光ビジネスに転換へ」)(関連記事2:中国が太陽光発電の政策を変更、世界市場で供給過剰懸念が再燃)。

 中央政府は補助金を定めない一方、地方政府は再エネ発電プロジェクトへの補助金を策定しても良いとする。さらに、政府系の国家開発銀行や各省の金融機関、民間の銀行などがグリッドパリティ発電プロジェクトに対して資金面での支援をするよう求めている。

 また、両機関はグリッドパリティを達成したプロジェクトを対象とした「グリーン電力証書」の市場を創設する計画も今回明らかにしており、それによる収益も再エネ発電事業に算入してよいとの方針を示している。

 今回の政策発表は昨年5月以来の大きな制度変更になる見通しで、中国の大手太陽光パネルメーカーの株価は同政策の発表を受けて市場の拡大への期待感から概ね上昇基調となっている。