図1●920MHz無線通信を使うDALI照明ネットワークのデモ 日経エレクトロニクスが撮影。
図1●920MHz無線通信を使うDALI照明ネットワークのデモ 日経エレクトロニクスが撮影。
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 ルネサス エレクトロニクスは、国際標準「DALI:Digital Addressable Lighting Interface」(IEC 62386)に沿ったLED照明ネットワークの開発容易化に取り組んでいる。開発用モジュールやそれを使ったデモンストレーションを「ライティング ジャパン 2016」(2016年1月13日~15日に東京ビッグサイトで開催)で見せる(図1)。

 同社はビルディングオートメーションの一環として、"つながるLED照明"の実現に取り組んでいる。経済産業省の資料によれば、一般的なオフィスビルの消費電力のうち33%を照明が占め、空調の28%を抜いて最も電力を使う(冬場の場合。夏場は空調が大きくなり、照明は28%)。LED化によって照明の消費電力を下げることができるが、灯具をネットワークで接続して調光を集中管理することで(以下、ネットワーク化)、さらに5~20%の省エネが見込めるという。また、ネットワーク化により、調色管理も容易になり、快適性の向上が期待できるとする。

 「LED照明のネットワーク化の需要は強いものの、複数の課題がある」とルネサスの荒巻利也氏(第二ソリューション事業本部 産業第一事業部 EMSソリューション部 エキスパート)は言う。例えば、国内の照明メーカーの場合、それぞれ独自のネットワークを使っており、灯具やコントローラーをそのメーカーでそろえる必要がある。また、既存のビルの場合、工期が夜間や休日に限られており、なかなか実施できないといった事情があるという。

 こうした課題に対して、ルネサスが推すのは国際標準のDALIに沿った照明ネットワークである。荒巻氏によれば、DALIはオンオフや調光、調色といった照明制御のためのプロトコルで、DALIに沿った灯具ならば、メーカーに関係なく接続してネットワーク化できる。ただし、DALIの標準的な実装では、各灯具には電源線とDALI専用線が必要になる。既存のビルでは、専用線の設置がDALIネットワーク構築の壁になる。