セカンダリー市場が活発に

 このほか2018年に太陽光市場で注目されるのは、稼働済みの発電所を売買するセカンダリー市場の動向だ。これまでは未稼働案件の「権利」(認定取得、連系承諾、用地の取得・利用契約)を開発リスク込みで売買することが中心だった。ここに来て安定稼働している案件が増えてきたことから、低リスクの投資先として注目されてきた。

 その先駆けとして、昨年までに東京証券取引所のインフラファンド市場に4銘柄が上場を果たしている。タカラレーベン系、いちご系、リニューアブル・ジャパン(東京都港区)系、そして、カナディアン・ソーラー系の4投資法人だ。

 カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、約73MWで300億円を超える資産を持ち、他の3銘柄が各20~30MWだったのと比較し、群を抜く規模になる。カナディアン・ソーラーグループは日本で634MWのメガソーラーを稼働済み、もしくは建設・開発中としており、同投資法人では、将来的に資産規模1000億円を目指すとしている。

 一方、スパークス・グループ子会社のスパークス・アセット・トラスト&マネジメント(東京都港区)は、稼働済みメガソーラー(ブラウンフィールド)に投資する「再生可能エネルギーブラウンフィールド・ファンド」を組成し、昨年11月から運用を開始した。資産規模200億円からスタートした。

 スパークス・グループでは、東証のインフラファンド市場への上場も準備していたが、同社の投資形態の場合、投資法人に課税されない特例を受けることが難しいなどの課題があり、上場を断念し、私募による「ブラウンフィールド・ファンド」を立ち上げた。最終的には、ファンド規模を500億円まで拡大することを目指す。

 今後は、上場インフラファンドと私募によるファンドが競う形で、稼働済みメガソーラーに対する投資を募っていくことになる。

 ただ、現時点では、企業筋の資金が中心でインフランファンド市場の投資口価格は、当初の思惑ほど上がっていない。その結果、分配金利回りは6~7%と高めで推移している。ただ、今後、安定運用先との認識が広がり、一般の個人投資家からの投資も活発化すれば、投資口価格が上がり、利回り3~4%の低コストで資金を調達できる可能性もある(図14)。

図14●いちごグリーンインフラ投資法人の投資口価格の推移
図14●いちごグリーンインフラ投資法人の投資口価格の推移
(出所:いちごグリーンインフラ投資法人)
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 こうした「安定投資先」としてのセカンダリー市場が拡大してきた場合、注目されるのが、太陽光発電所の評価を高めるO&M(運用・保守)、アセットマネジメント手法になる。

 稼働後、4~5年を超えたメガソーラーの将来価値、つまり期待発電量を維持し、第三者から評価されるための検査手法や定期点検、パネル、パワーコンディショナー(PCS)、連系設備などの予防保全的な部品交換、設備更新などが問われることになる。