中国最大の液晶パネルメーカー、BOE Technology Group社が2015年12月2日に安徽省合肥市で開催した第10.5世代の新工場の起工式(関連記事)では、同社の今後の戦略を垣間見ることができた。大画面の液晶ディスプレーでテレビ以外の新たな市場を切り開くとともに、中国内でのパネル製造のサプライチェーンを構築し、ディスプレー産業での主導権を握るというものだ。これまで慎重に液晶パネル需給をにらみながら検討を進めてきた、同社の将来に向けた戦略である。

サプライチェーンを重視した国家プロジェクト

 起工式典の壇上に並んだ主賓の肩書きを見れば、このプロジェクトの位置付けが分かる。

 国家レベルでは、国家開発銀行の局長、国家工業和信息化部 電子信息司 副司長、国家発展開発委員会 高技術新興産業所 所長。省レベルでは、安徽省常任委員 合肥市委員会 書記、安徽省経済委員会 主任をはじめ、省の税関、開発銀行、発展改革委員会などのトップ。市レベルでは、合肥市市長以下、市の主要部門のトップ。そして、BOE Technology Group社のサプライチェーンの重要メンバーであるCorning社のCorning Glass Technologies 総裁(President)、重要顧客である北京電子 総裁、創維集団(Skyworth)総裁、三星集団 大中華区 総裁、LG電子信息社 社長など総勢26名である(図1)。(本文中の肩書きは司会者から紹介されたものを掲載)。

図1 起工式典の様子
図1 起工式典の様子
壇上には26人の主賓が並び、司会者が一人ひとり紹介した後、BOE社 総裁の陳炎順氏が今回のプロジェクトの概要を発表した。
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