ビル屋上での太陽光発電電力を束ねて使う
ビル屋上での太陽光発電電力を束ねて使う
(出所:Sunseap Group社)
[画像のクリックで拡大表示]

 シンガポールの太陽光発電開発事業者であるSunseap Group社は11月16日、米アップルの東南アジアの拠点向けに、太陽光発電電力を供給する契約を締結したと発表した。2016年1月に電力の供給を開始する。

 この電力調達により、アップルは、シンガポールで展開している業務に関して、再生可能エネルギーですべての電力を賄う初の企業になるとしている。

 Sunseap Group社は、シンガポールの800棟以上のビルの屋上に、太陽光発電システムを設置済みである。これらの屋根設置型の太陽光発電システムを、アップル向けの電力供給に使う。

 アップルのシンガポール拠点は、事業所(corporate campus)や小売店などがあり、約2500人が従事している。今回の電力購入契約は、シンガポール政府の協力を得て実現したという。

 Sunseap Group社は、シンガポールのビルの屋根上にある合計1.1MWの太陽光発電システムから、最大で40GWhの電力をアップル向けに供給する。

 シンガポールの建築建設局(Building and Construction Authority:BCA)は、建築物環境性能認証制度である「Green Mark」を定めている。シンガポール証券取引場への上場企業は、持続可能性に関する報告を義務付けられており、その一つに新築や既存の建物の「Green Mark」への対応も含まれている。

 アップルのような大企業が率先して太陽光発電電力を調達することで、シンガポールの上場企業に対し、「Green Mark」に関連して、太陽光発電の導入や太陽光発電電力の活用といった取り組みを促進する効果も期待されているという。

 シンガポールは、日本以上に土地に限りがあり、大規模な地上設置型の太陽光発電システムの設置に制約がある。

 自社の土地やビルの屋根上に、所望する出力の太陽光発電システムを設置できなくても、今回のように、シンガポールのビルの屋根上に分散している太陽光発電システムの電力を束ねて使い、再エネ電力をより多く活用する取り組みが増えてくるだろうと、Sunseap Group社は強調している。