図 Autodesk Inventor 2016 R2のトポロジー最適化機能
図 Autodesk Inventor 2016 R2のトポロジー最適化機能
左端が元の形状、右端が最大限軽量化した形状。中央は、右端の形状に対して、造りやすいように手を入れた形状。
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 米Autodesk社は2015年10月30日から配布を開始した「Autodesk Inventor 2016 R2」で、強度を保ちつつ部品を軽量化する自動設計機能を追加した。その際、必ずしも3Dプリンターを使わず、既存の生産方法でも造れる形状などに対話操作で調整する機能も加えた。設計者が仕様を指定すれば、それを満たす形状をコンピューターが決める機能として同社が研究している「Generative Design」の一部を初めて実装した。

 Inventor 2016 R2に新設した「Shape Generator」では、部品のラフな形状と、部品が耐えるべき荷重の大きさ、荷重がかかる場所などを設計者が指定すると、コンピューターが自動的に形状から材料をそぎ落として、条件を満たしつつ最も軽い形状を生成する。この形状はしばしば、生物の骨格のような複雑な形状になり、3Dプリンターなら造形できるが、切削加工などでは造りにくくなる。現状では、まだ3Dプリンターの造形物の強度や残留応力、成形後の変形などについて分かりきっていないなどの理由により、実用する部品の3Dプリンターでの造形に踏み切れないユーザーも多い。そこでInventor 2016 R2では、コンピューターが生成した形状を、さらに調整できる機能を加えた。

 具体的にはコンピューターが生成した形状を単純な線や円弧、なめらかな自由曲面で取り囲むなどの操作で、製造性やデザイン性を考慮した形状に調整する。調整後の形状は再び構造解析シミュレーションなどで強度や剛性が十分かについて検証する。このとき、Shape Generatorに最初に与えた荷重の大きさや荷重がかかる場所などを、そのまま境界条件として再利用できる。

 最終的には、もともとのラフな形状と、極限まで軽量化した生物的な形状の中間の重さで、幾何的な線や面で構成した形状を得ることを想定している(図)。軽量化の点では最適ではないが、安定的に製造できる形にできたり、既存の製造プロセスで素早く製造できたりするのがメリットになる。