さまざまな問題を抱えて岐路に立つ日本の農業。その農業を盛り立てる上で、重要な存在として期待を集めるのが、「農業女子」こと女性の農業従事者だ。その農業女子の活躍の一端を紹介するイベント「ハーベストフェス powered by 農業女子PJ」が2015年10月21~27日、三越日本橋本店で開催されている。

 「農業女子PJ(プロジェクト)」とは、2013年に農林水産省が企業に呼びかけて立ち上げたプロジェクトで、農業に携わる女性の持つ力を生かし、企業が協力しながら盛り上げていこうというもの。現在は女性の農業従事者366人が「農業女子PJ」のメンバーに参加しており、実際の商品開発に携わった商品も実用化されている。ハーベストフェスでは、農業女子が育てる農産物から、それらを原料とした加工食品などに加え、いわゆる“工業製品”も数多く展示されている。

 まず目につくのが、農作業に使う機械。実際に使っている農業女子からの要望を受け、女性も使いやすい工夫を随所に施した製品が多く登場している。中でも筆者が気になったのは、丸山製作所の草刈機「かる~の」。小型軽量タイプの草刈り機なのだが、「肩が痛くて気持ち悪くなるほど」との声に応え、通常斜め掛けするバンドを“赤ちゃん用抱っこひも”的な両肩から腰で支える形に改良している。ギアケースの角度やハンドルの高さも女性に使いやすく調整したという。機能面だけでなく、見た目のかわいさも徹底的に追及。本体やシャフト、バンドの裏地まで随所にピンクをあしらい、極めつけにシャイニーピンクにハート形が抜かれたチップソーまで用意しているところに、気迫を感じた。

丸山製作所の草刈機「かる~の」。バンドにはスマホ、工具、アメ(!)などを入れられるポーチや、クーラー代わりの保冷剤を入れるポケットまで装備。本館屋上で展示されている。※女性の中にはアメを携帯している人が少なくない。
丸山製作所の草刈機「かる~の」。バンドにはスマホ、工具、アメ(!)などを入れられるポーチや、クーラー代わりの保冷剤を入れるポケットまで装備。本館屋上で展示されている。※女性の中にはアメを携帯している人が少なくない。
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「iPhone 6s」もローズゴールドがある。やはりシャイニーピンクは女子向けに欠かせない色なのか…
草刈用チップソー「ハートDeカローネ」。女子受け感がハンパない美しいシャイニーピンクとハート形の抜きに、どれくらいの意味があるのかは分からないが、その分インパクトは大きい。
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 「農業女子トラクタ」を開発したのは井関農機。近年、農業機械オペレーター分野でも女性が増えていることから、女性が扱いやすい農業機械の要望が高まっているという。開発したトラクタは、通常の小型トラクタにはついていない前後調整機能付きのシートや、日焼け防止のサンバイザーを装備する。小柄な女性でも乗り降りしやすいグリップとステップ、給油時に燃料タンクを支える置台など、使いやすさに配慮した。

井関農機の「農業女子トラクタ(しろプチZ15特別仕様)」。実は、白い車体の色も「明るいホワイトカラーで農業のイメージを一新!」するという、こだわりの色。本館1階室町口前に展示されている。
井関農機の「農業女子トラクタ(しろプチZ15特別仕様)」。実は、白い車体の色も「明るいホワイトカラーで農業のイメージを一新!」するという、こだわりの色。本館1階室町口前に展示されている。
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 このほか、ダイハツ工業は「ハイゼットトラック」と「ハイゼットカーゴ」のポップな新色を参考出品している。同社はハイゼットトラックについて、選べる7色のボディカラーや、紫外線・赤外線カットガラス、ミラー付きサンバイザーなどを備えた「農業女子パック」を開発、商品化している。

ダイハツ工業の「ハイゼットトラック」は本館1階中央ホールでマルシェの一部として展示。
ダイハツ工業の「ハイゼットトラック」は本館1階中央ホールでマルシェの一部として展示。
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同社の「ハイゼットカーゴ」は本館1階室町口前に展示されており、同イベントのスタンプラリー景品引換所にもなっている。
同社の「ハイゼットカーゴ」は本館1階室町口前に展示されており、同イベントのスタンプラリー景品引換所にもなっている。
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