「iOrgansテクノロジー」を活用
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 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の佐藤匠徳氏(佐藤匠徳特別研究所 所長)と、樹状細胞ワクチン療法の研究開発を手掛けるテラは2015年10月19日、がんなどの疾病を早期に診断したり、予防したりする最先端技術を提供するベンチャー企業「Karydo TherapeutiX」(東京都港区)を設立したと発表した(ATRのニュースリリーステラのニュースリリース)。

 科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「佐藤ライブ予測制御プロジェクト」の研究成果を事業化する。佐藤氏がScientific Founder・代表取締役を務める。

 社名のKarydoは「狩人(かりうど)」を意味する。疾病の“ハンター(狩人)”として、疾病を早期に“捕らえ(診断による発見)”、早期に“防御・根絶・共存(予防・先制医療・コントロール)”するための技術を創出・提供するという。また、これらの技術を「誰もがいつでもどこでも」利用できるようにするための技術を開発する。

 佐藤ライブ予測制御プロジェクトでは2014年から、生体全体を複雑系ネットワークシステムととらえ、生命科学やイメージング、数理計算科学といった異分野を融合した研究を進めてきた。その中で、正常な生体ネットワークシステムの構築と維持の原理、それが崩壊し疾病に至る道筋や道標が徐々に明らかになってきたという。そこで、その成果をいち早く社会に還元することを目指し、新会社を設立した。今後、佐藤匠徳特別研究所で生まれる技術革新のシーズを新会社へライセンスする。

 新会社の基盤となるのは、疾病を早期に発見するとともに、予防・治療・コントロールする「iOrgansテクノロジー」と呼ぶ技術。具体的には(1)Drug-iOrgans(D-iOrgans)、(2)Forward-iOrgans(F-iOrgans)、(3)Reverse-iOrgans(R-iOrgans)から成る。「iOrgans-Indicator(iOrgans-Id)」と呼ぶ指標を使い、D-iOrgansでは「薬の新規の効果や副作用の同定」、F-iOrgansでは「疾病および合併症を早期に先制攻撃」、R-iOrgansでは「疾病の予兆を早期に検出」をそれぞれ実現するという。