ルネサス エレクトロニクスは、機能安全性が求められる産業機器の開発負荷軽減に向けて、「セーフティ・リファレンス・キット」を2015年10月15日に発売した(ニュースリリース)。新製品を利用することで、IEC61508に代表される機能安全規格に短期間に準拠させられるようになるという。

新製品のセーフティ・リファレンス・キットと既存のセーフティ・パッケージの違い ルネサスの図。
新製品のセーフティ・リファレンス・キットと既存のセーフティ・パッケージの違い ルネサスの図。
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 産業機器を機能安全規格に準拠させるために、従来はユーザーが独自に行っていた開発作業を、ルネサスが実施し、その結果を設計データや、ドキュメントなどのリファレンスとして提供するものである。ユーザーは、新製品をベースに開発を進めることで、機能安全規格に準拠させるための作業期間を最大で6~7割程度も削減できるという。

 なお、ルネサスは、機能安全に対して、マイコンの故障診断と自己分析を行う「セーフティ・パッケージ(RX111用、RX631、RX63N用)」を販売中である(日経テクノロジーオンライン関連記事1同関連記事2)。これらのセーフティ・パッケージは、機能安全システムのマイコンが正常に動作しているかどうかを診断するものである。一方、今回の新製品のセーフティ・リファレンス・キットは、機器の「機能安全システムの部分」に対して、システムレベル仕様の検討、それに基づく安全システム設計(ハードウエア、ソフトウエア設計)、故障分析・診断を行うものである。ルネサスはセーフティ・パッケージとセーフティ・リファレンス・キットを組み合わせて使うことを推奨している。