9月18日に開催された竣工式
9月18日に開催された竣工式
(出所:日経BP)
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空から見た「袋田太陽光発電所」
空から見た「袋田太陽光発電所」
(出所:ゲスタンプ アセティム ソーラー ジャパン)
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ABBが納入したハイブリッド遮断器PASS
ABBが納入したハイブリッド遮断器PASS
(出所:日経BP)
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 ゲスタンプ アセティム ソーラー ジャパン(東京都中央区)は9月18日、茨城県大子町のゴルフ場跡地に建設していた出力約31MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の竣工式を開催した。大子町内大野にあったゴルフ場「スパ袋田ゴルフクラブ」の跡地に建設した。発電所名は、「袋田太陽光発電所」。

 ゲスタンプグループは、スペイン系の複合企業で、自動車部品、鉄鋼などのほか、ゲスタンプ アセティム ソーラーが、米国やスペイン、イタリアなどで太陽光、風力、バイオマス発電など再エネ事業を手掛けている。日本では今回竣工した大子町でのメガソーラープロジェクトが初めての稼働案件となる。建設資金はドイツ銀行などから融資を受けた。

 「袋田太陽光発電所」の太陽光パネルの最大出力は31.4MW、連系出力は26MWとなる。太陽光パネルは、中国インリーソーラー製の多結晶シリコン型を12万6408枚設置した。パワーコンディショナー(PCS)はスイスABB製定格出力1MW機を26台導入した。架台は、ゲスタンプ スチール インダストリーズ製のスクリュー杭タイプを採用した。

 特別高圧の連系設備のほとんどはABBが供給した。遮断器には、国内では一般的なガス絶縁スイッチギア(GIS)ではなく、ハイブリッド遮断器(PASS)を採用した。「PASSは、欧米のメガソーラーでは主流だが、日本では普及が進んでいない。国内の特高案件のメガソーラーで、PASSを設置して系統連系したのは、今回が初めて」(ABB)という。

 ABBによると、「PASSはGISに比べ基礎工事が簡単で、据え付け時間が短いなど、経済性で有利。買取価格が低下するなか、今後、日本でも採用例が増える」と見ている。

 発電量のモニタリングに関しては、ストリング(パネルの直列回路)ごとの監視システムを導入した。接続箱のセンサーから光ファイバーを敷設してデータを収集し、サイト内の制御センターで処理する。制御センターからインターネットを通じてゲスタンプのスペイン本社にあるデータセンターに発電情報を送り、遠隔監視している。

 ゲスタンプ アセティム ソーラー ジャパンでは、現在、岩手県に27MWの案件を建設中で年内には完工する予定。このほか、4サイトで合計150MWの案件について、年内に着工する予定という。同社では、さらに今後2年間で、合計400MWのメガソーラーを開発する計画を立てている。