米Texas Instruments(TI)社は、センサーを使ってあらゆるものを情報として取り出せるようにするIoT(Internet of Things)の事業をコールドチェーン(低温流通体系)分野に展開していく。コールドチェーンとは、生鮮食品や冷凍食品、医薬品を、生産者から消費者までを管理された低温環境で流通させる体系。
現在の流通経路は、消費者や生産者から見てブラックボックス化されていることが多く、冷凍食品が常温で運搬されたとしても気づくことは難しい。TI社は、コールドチェーンの温度管理履歴を全て「見える化」することが、物流業界にIoTを導入する動機になると考え、事業化を決めた。
強みにするのは、-55~125℃の範囲で高精度に温度計測が可能なセンシング技術と、センサーデータを低消費電力に保存し、通信する技術とする。同社の温度センサーの誤差は、-20~70℃で±0.4℃、-40~100℃で±0.55℃、-55~125℃で±0.7℃という。米NIST(標準技術国立研究所)での校正証明を受けており、顧客は使用前に補正などの必要がない。