2014年の年4億3000万米ドルから、2019年には年10億米ドル以上の市場に
2014年の年4億3000万米ドルから、2019年には年10億米ドル以上の市場に
マイクロインバータやパワー・オプティマイザなど、太陽光パネル単位のパワーエレクトロニクス市場の展望(出所:IHS)
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 米国の調査会社であるIHSは9月8日、太陽光パネル単位のパワーエレクトロニクス市場の展望を発表した。

 パネル単位のパワーコンディショナー(PCS)である「マイクロインバータ」や、パネル単位でMPPT制御(最大電力点制御)する「パワー・オプティマイザ」などが対象となる。

 同社によると、2014年の集中型PCS市場は、前年比16%縮小した。一方で、2014年の太陽光パネル単位のパワーエレクトロニクス市場は、前年比30%増の年4億3000万米ドルと、競争の激化に伴う価格の下落にも関わらず、成長を続けた。

 今後も、年率平均19%で成長を続け、2019年の市場は年10億米ドルを超えると予想している。

 IHSによると、2014年のマイクロインバータ市場を牽引したのは、米Enphase Energy社である。同社は、米国の住宅向けで大きなシェアを持つことに加え、欧州、アジア太平洋などの新たな市場を開拓している。

 2014年のパワー・オプティマイザ市場は、米SolarEdge Technologies社が主導した。米国のほか、新興国市場を開拓したという。

 IHSでは、パネル単位で直流から交流に変換するマイクロインバータについて、従来の集中型のPCSに比べて最大25%、出力を向上できるとしている。ただし、コストは集中型のPCSを使った場合に比べて高くなるという。

 太陽光パネル単位のパワーエレクトロニクスの最大の市場は、米国となっている。住宅用や産業用として市場を拡大している。主要メーカーは、米国だけでなく、英国、フランス、オーストラリアなどで市場を獲得しているという。

 世界の住宅用や小規模産業用の太陽光発電システム設置市場は、今後5年間で合計出力75GWに達すると予想されている。このうち20%を米国が占めることから、今後の太陽光パネル単位のパワーエレクトロニクス市場は拡大基調で推移する。

 また、エネルギー貯蔵システムを併設する場合にも、新たな運用技術を実現できることから、さらに市場の拡大が見込まれるとする。

 太陽光パネルメーカーでは、韓国LGエレクトロニクス、中国ジンコソーラーホールディング、米サンパワーなどが、マイクロインバータやパワー・オプティマイザのメーカーと提携したり、自社で生産している。

 このうち、サンパワーは、2014年にマイクロインバーターメーカーの米SolarBridge Technologies社を買収した。IHSでは、今後もこうした垂直統合型の買収が多く起こると予想している。