開所式の様子。左から2番目が日立の渡部氏、3番目がAccuray社のLevine氏
開所式の様子。左から2番目が日立の渡部氏、3番目がAccuray社のLevine氏
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設置したTomoTherapy
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TomoTherapyのガントリー内部
TomoTherapyのガントリー内部
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TomoTherapyの操作室
TomoTherapyの操作室
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日立メディカルフォーラム柏に設けたトレーニングルーム
日立メディカルフォーラム柏に設けたトレーニングルーム
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 日立製作所と米Accuray社日本法人の日本アキュレイは2015年9月2日、日立メディコ柏事業場(千葉県柏市)内に「日立高精度放射線治療研修センター」を開設した(ニュースリリース)。Accuray社製の高精度放射線治療装置「TomoTherapy」を設置し、放射線腫瘍医や放射線技師、医学物理士が実機に触れながら、操作や管理方法などの研修プログラムを学べる施設だ。日立メディコが運営し、日立製作所が同社を吸収合併する2016年4月1日以降は、日立製作所が承継する。9月2日、開所式と事業説明会を同センターで開催した。

 事業説明会には日立製作所 執行役常務 ヘルスケアグループ長 ヘルスケア社社長の渡部眞也氏や、Accuray社 President&CEOのJoshua H. Levine氏が登壇。渡部氏はTomoTherapyを「医療現場で(もっと)使ってもらえるシステムにするよう、教育を含めて貢献したい。このセンターを通じ、高度な医療の普及に寄与したい」と述べた。

装置ユーザーを育てる

 TomoTherapyは、がん周辺の正常部位への影響を低減しつつ、腫瘍の形状に合わせて高い精度で放射線を照射できる。大型のX線CT装置のような外観をしており、ガントリー内を線形加速器(リニアック)が回転するとともに寝台がスライドすることで、高い精度でX線を腫瘍に照射する。ヘリカルX線CT技術を応用し、強度変調放射線治療(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)といった高精度照射に対応できるようにしたことが特徴だ。IMRTは放射線の強度を変化させて照射する手法で、がんの形状に合わせて放射線を照射できる。IGRTでは、毎回の放射線照射直前に患者の画像を取得し、位置誤差を修正して照射精度を高める。

 日本国内では2012年7月から日立メディコがTomoTherapyを独占販売しており、アプリケーションサポートも担当している。2015年8月末時点で、42施設で計46台が稼働中という。

 TomoTherapyやサイバーナイフなど、Accuray社の放射線治療装置は日本において、2015年8月末時点で計78台が稼働中。日本の放射線治療装置市場における設置ベースのシェアは8%という。従来の主力だった大規模病院向けに加え、中小規模病院向けの製品も強化しており、「2016年末までに日本での稼働台数を100台以上とする」(Accuray社のLevine氏)狙いだ。

 研修センターには治療室を模した環境を整えており、TomoTherapyの実機で実際の治療ビームを出力しながら、操作方法や装置の管理などを学べる。同センターに隣接する「日立メディカルフォーラム柏」内には、TomoTherapy専用の放射線治療計画システム9台を設置したトレーニングルームを用意。治療計画や品質管理のプロセスを学べる。新規ユーザーを対象とする基本コースのほか、既存ユーザーを対象としたフォローアップコースや各種講習会の開催も予定している。