アマダホールディングスは、板金加工機械(パンチングマシン)に装着する金型の新しい工場を岐阜県土岐市に建設し、2017年7月に生産を開始する*1。IoT(Internet of Things)の活用と自動化を徹底したことが新工場の特徴。これにより、平均納期の半減と生産能力の50%向上を実現する。
金型IDを刻印して個別管理
新工場で生産するのは、パンチングマシン用金型のうち小径のパンチとダイ、ガイド(図1)。それぞれサイズや材質、形状などの違いで複数種類あり、標準品だけで合計128種の金型をラインアップする。さらに、刃先の形状や寸法が客先指定の場合もあり、対応すべき金型の種類は膨大だ。従来、小径の金型は神奈川県の伊勢原工場で生産していたが、これを移管する*2。現在の月産本数は約2万本で、これは同社が生産するパンチング金型の約8割に相当する数だ。
新工場は、工場のデジタル化とネットワーク化を進める同社の「VPSS(V-Factory)」構想に基づき、全ての設備やワークをネットワークでつなぎ、稼働状況や工程進捗、負荷状況、製品トレーサビリティー情報をリアルタイムに管理。在庫や納期の情報を顧客がWebを介して見える工場を実現する。工場内でも、稼働状況をリアルタイムでモニターすることで、設備ごとのアラーム情報を確認でき、不具合発生時には保全担当者へメールを送信する仕組みも構築する*3。この他、工具にIDを付けて工具補正や寿命管理も行う。
ワークについては、2次元コードをレーザーで刻印する「金型ID」を活用する(図2)。パンチング金型に関しては約6年前にID化を開始しているが、新工場では全ての金型のID化を行い、工程内での見える化とトレーサビリティー管理を実現する。なお、金型IDを刻印する前の金型に関しては、RFIDを組み込んだコンテナーで管理する。