東京オリンピックの開会式で「空飛ぶクルマ」が聖火を点火する。この壮大な夢を実現するため、大手自動車メーカーに勤務する傍ら、業務外の有志活動団体として「CARTIVATOR」を立ち上げ、空飛ぶクルマの開発プロジェクトを率いるのが中村翼氏だ。積み重ねた実験の成果を詰め込んだ設計が2017年9月には完成する。次世代の人に夢を届けるため、残された課題に挑み続ける。

写真:早川俊昭
写真:早川俊昭

 小さな頃からクルマや飛行機、新幹線といった乗り物が大好きで、いろいろな夢を見ることができました。このような夢を次の世代にも伝えていきたいという思いがずっとあります。

 自動車会社に入って、スポーツカーやレーシングカーの企画や開発をやりたかったのですが、そういった職種は狭き門だったり、実は社外でやっていたりと、自分自身がすぐに関わることはできないという現実がありました。私は待ちきれないなと思って、入社4年目ぐらいの時にアクションを起こすことにしたのです。