(写真:柴 仁人)
(写真:柴 仁人)

クルマにアプリケーションソフトウエアをダウンロードして機能を拡充できる─。そんな次世代の車両情報基盤システムをデンソーが開発し、2015年10月に日本で開催された車載Ethernetに関する国際会議「5th Annual IEEE-SA Ethernet&IP@Automotive Technology Day」で披露した。同システムで重要な役割を果たすのが、車載Ethernetである。デンソーの開発担当者が、その重要性や将来性を解説する。(本誌)

 我々は、自動車にアプリケーションソフトウエア(アプリ)をダウンロードして、スマートフォンのように機能を拡充する、次世代の車両情報基盤システムを開発している(図1)。車載ネットワークに既に接続している、あるいは新たに追加したカメラやセンサーなどを活用するアプリをサーバーからダウンロードして実行できるものだ。2022年ごろの自動車での利用を想定したもので、程度の違いはあるにせよ、多くの自動車が将来、こうした車両情報基盤システムに移行すると考えている。この仕組みによって、自動車の購入後の機能アップデートを容易にしたり、ユーザー好みの機能にカスタマイズしたりして、車の継続利用を促せる。

図1 次世代の車両情報基盤を披露
図1 次世代の車両情報基盤を披露
2015年10月に開催された車載Ethernet関連の国際会議「5th Annual IEEE-SA Ethernet&IP@Automotive Technology Day」で見せた、開発中の車両情報基盤を使ったデモの構成。「コネクテッドゲートウエー」がアプリのダウンロードと実行を担う。デモでは、接続するカメラの個数に応じて、新たなアプリを追加・実行できる様子を披露した。
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 こうした自動車の“スマホ化”は、大きく2つの要素によって、実現できると考えている。「ドメイン階層型」と呼ぶ車載ネットワークと、同ネットワークに適用する「車載Ethernet」だ。本稿ではこの2つについて解説する。