ルネサス エレクトロニクスが成長路線を描き始めた。車載、産業、IoT(Internet of Things)分野のうち、グローバルで勝てる領域に経営資源を集中する。成長のエンジンと期待をかけるのが2016年秋に買収を発表した米Intersil社との事業統合だ。ルネサスの代表取締役社長兼CEOの呉 文精氏に、今後の舵取りのシナリオを聞いた。

呉 文精(くれ・ぶんせい)
呉 文精(くれ・ぶんせい)
1956年5月20日生まれ。1979年4月、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2000年5月以降、GEキャピタル・ジャパン 事業開発本部長。2003年5月からはGEフリートサービス 代表取締役社長兼CEO を務める。2008年6月以降はカルソニックカンセイ 代表取締役社長兼CEO。2013年6月からは日本電産 取締役副社長、2014年6月以降は同社 代表取締役副社長兼COOを歴任。2015年6月からは同社 代表取締役副社長、2015年9月に同社を退社。2016年4月からはルネサス エレクトロニクス CEO付。2016年6月に同社 代表取締役社長兼CEOに就任、現在に至る。(写真:栗原克己)

──先般発表された御社の中期成長戦略では、売上高営業利益率を20%超、注力分野の売上高成長率を市場成長率の約2倍にするという目標を掲げました。こうした目標を打ち出した背景からお聞きします。

 まず営業利益率については、日本の製造業でこそ20%を達成しているところは少数かもしれませんが、グローバルに成功している半導体企業では20%の数値は決して高くないですよね。むしろ低いくらいです。

 従って、逆に20%程度はないと、勝ち残っていくことはできないと考えています。今の我々の実力から見ても、グローバルな半導体業界という私どもが戦っている市場から見ても、高すぎる目標だとか、何か特別なことをしないと達成できないという数値ではないと考えています。例えば、IoT(Internet of Things)や車載など、我々が注力している分野のいくつかでは、今お客様からの引き合いが非常に強い状況です。私どもとしてはそうしたニーズに応えながら、リソースが分散しないように気を付けていきたい。