2016年9月5日、ソフトバンクグループは、英ARM Holdings社の株式を総額約240億ポンド(約3.3兆円)で取得し、100%子会社とした。今回の買収は、何かと目立つソフトバンクが当事者だったこと、買収額が巨額だったこと、また組み合わせに意外性があったことから、さまざまなメディアが、あらゆる切り口から報道した。今回は、ひと通りの着眼点、切り口が出そろった今、改めて今回の買収の波及効果を論じていただいた(表1)。

表1 「ARMの買収で笑うのは誰か」をテーマにしたテクノ大喜利での回答
表1 「ARMの買収で笑うのは誰か」をテーマにしたテクノ大喜利での回答
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ソフトバンクだけが視界明瞭

 IHSテクノロジーの大山 聡氏は、ソフトバンクが投じた巨額投資の価値を、情報投資の側面から論じた。「ARM社を傘下に収めたソフトバンクは、マイコンメーカーの赤裸々な出荷実績を把握できる。多様な技術やアイデアが飛び交う混沌としたIoT市場において、ソフトバンクは情報戦を制する武器を得た」と指摘した。

 ARM社の業績だけで買収額の妥当性を評価すれば、決して安い額とは言えない。しかし、果敢な経営判断ができる実績十分な経営者が正確な情報を得るための情報投資と見れば、安すぎると思える。多くの企業が、断片的な情報と想像力を頼りに血眼になって探すIoTの鉱脈を、ソフトバンクだけは鉱脈レーダーを使って悠々と発掘できるからだ。