ドローンのビジネスにおいて特に重要なのは、飛ばすための運用である。特に農薬散布や測量といった用途においては、観測や測定の自動化が欠かせない。自然災害をドローンで観測する際も同様だ。ドローンに搭載する観測機器やサービスに関わる装置は、ドローンとは別の企業が作ることが多い。ドローンにこれらの装置を搭載する上では、単に測定装置として精度を確保するだけでなく、軽くするためのノウハウも重要である。

 ドローンをはじめとする航空機では、プロペラやその駆動装置(モータやエンジンなど)の大きさで搭載可能質量(ペイロード)が決まる。そのため、機体自体を軽く作ることは非常に重要である。

 重量バランスがよいことも、軽さと共に重視される要素だ。重量バランスが悪いと操縦性、機動性に欠け、操縦しにくくなる。また、自動飛行時には制御がしにくくなる。

 丈夫さについては、高い高度を高速で飛行するドローンでは、次のような要素を考慮する。回路や制御系などが離着陸に失敗した際の衝撃を考慮した設計となっていること、上空と地上とでの急激な温度差に耐えられること、構造が高速の飛行に耐えられること、などである。丈夫さと軽さを両立させるのはノウハウが必要である。

 東北大学 准教授の永谷圭司氏の研究室と筆者の企業が共同開発している火山礫(れき)回収ロボットの例を紹介しよう注1)。火山礫とは噴火後の火山の火口周辺の噴火堆積物のことであり、火山礫回収ロボットは、ドローンによってそれを採取する装置(図1)だ。ロボットをドローンに吊り下げ、指定されたポイントまで運んで下ろし、火山礫などの堆積物を採取。頃合いを見計らってドローンがロボットを回収し帰ってくる。噴火に伴う熱や上空での低温、山頂付近の空気の薄さなどにある程度対応することも必要だ。噴火は年に何度もあるわけではなく、こうしたロボットは長期間運用することになるため、供給期間の長い部品を使うことも必要だ。

注1)NEDOの支援で開発した。
図1 火山礫回収ロボットとドローン
図1 火山礫回収ロボットとドローン
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