農業における作物の管理や計測などに利用できると期待されているドローン。圃場の空撮に使えることは分かるものの、実際にどのようなデータを取得できるのかはあまり知られていない。

 農業分野の国立研究開発法人である農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、ドローンを使った作物の計測を4年前から研究している。農業機械の研究で博士号を持ち、農研機構の北海道農業研究センターで主任研究員 大規模IT農業プロジェクト担当を務める杉浦綾氏がその人だ。

 同氏は2011年から農業用ドローンの研究に着目。当時は農業計測用に利用できる安価なドローンが入手しにくかったことから、農機研究という農学と工学の両分野にまたがる自らの専門性を生かし、ドローンを自主開発。農研機構が北海道十勝地区に持つ広大な圃場で連日、ドローンを自律飛行させ、同機構が栽培する多様な作物について詳細なデータを計測してきた。稼働させるドローンは7台にも上る。作物の草丈などを算出する3次元計測システムも自ら開発した。今回はその概要と計測結果を紹介する1)