トヨタ自動車が、「クルマを造るだけの会社」からの脱却に向けて本格的に動き出した。米ベンチャー2社と組んで、コネクテッドカー(つながるクルマ)を使った試験サービスを2016年度冬に始めることを決定。自動車の生産・販売を生業としてきたトヨタが、新たな収益源の確保を目指した取り組みを加速させている。

 トヨタがパートナーに選んだのは、米Uber Technologies社と同Getaround社である。いずれも「シェアリングサービス」を生業とする新興企業だ。クルマへの消費者ニーズが「所有」から「利用」へと移りゆく中でトヨタは存在感を示せるのか。今回の試験サービスは重要な試金石になりそうだ。

 ライドシェア最大手のUber社とは、2016年12月に共同でサービスを開始。ライドシェアサービスの運転者に車両をリースし、収入の一部をリース料としてトヨタが徴収する仕組みを採る。運転者は車両の購入負担が減る。

 Getaround社はカーシェアリングサービスを手掛ける企業で、2017年1月から共同でサービスを始める。仕組みはUber社の事例とほとんど同じ。カーシェアサービスへの車両の提供者(貸し手)がトヨタファイナンシャルサービスと車両のリース契約を結び、カーシェアリング用の車両としてカーシェアサービスの利用者(借り手)に貸し出す(図1)。貸し手は、借り手が支払った利用料からリース料や手数料を天引きした後のサービス収入を得られる。

図1 トヨタはリース料を収入源に
図1 トヨタはリース料を収入源に
2017年1月に、米ベンチャーのGetaround社と個人間カーシェアの試験サービスを開始する。借り手が支払うサービス利用料を、クルマの貸し手とトヨタ、 Getaround社で分配する。
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