ステアリング大手のジェイテクトが、100℃を超える高温環境下で使えるリチウムイオンキャパシターを開発した(図1)。自動運転の開発が加速する中、各種電源を冗長化する補助電源として使う。2006年から研究開発を進めてきたものがいよいよ花開く。2019年に量産を開始する予定で、早ければ2021年には開発品を搭載する車両が登場する。

図1 沸騰した湯にも耐えられる
図1 沸騰した湯にも耐えられる
(a)ジェイテクトが開発したリチウムイオンキャパシター。容量は500Fで、2019年に量産を開始する。(b)耐熱性の試験として開発品を沸騰水に入れても、ミニカーに動作電源を供給し続けた。
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 リチウムイオンキャパシターの普及を阻んできた耐熱性の課題を、ジェイテクトが解決した。開発品は動作温度範囲が-40~+85℃と広い。作動電圧は2.2~3.8Vで、上限を3.6Vに抑えて使えば+105℃まで耐えられる。競合品は+70℃で電解液が熱分解して使えなくなる。高耐熱品も存在するが、低温特性が悪い。

 「ものすごい数の引き合いが来ており、大化けする可能性がある。事業の規模感としては、工場が一つや二つでは足りない」。ジェイテクト社長の安形哲夫氏は興奮気味に手応えを口にする。キャパシターの外販を新規事業として大きく育てるため、2017年9月に社長直轄の組織「BR蓄電デバイス事業室」を立ち上げた。

 2018年内にはジェイテクトの国内工場内に生産ラインを構築する。まずは月産2000セル規模で始め、生産技術を確立する。2019年には「月産4万セルまで増やして量産出荷を開始する」(同社BR蓄電デバイス事業室室長の西幸二氏)。2020年には月産8万セルまで規模を拡大させる計画だ。