自動車業界におけるサステナビリティー(持続可能性)に関する国際シンポジウムが、2015年10月15~16日にイタリア・ベネチアで開催された。自動車メーカーからは、トヨタ自動車とドイツBMW社が登壇。産業界だけでなく、学術界やNGO団体の関係者も集まって、サステナビリティーや透明性の重要性を議論した。

 今回のシンポジウムを主催したのは、スエード調の人工皮革メーカーであるイタリアAlcantara社と同Venice International Universityだ。Alcantara社で会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるAndrea Boragno氏は「サステナビリティーへの取り組みは単なる社会貢献活動ではなく、事業戦略の一部だ」と断言する(別掲記事参照)。

 「消費者の間では、将来世代のための選択や未来を見据えた行動が進み始めている」──。こう語ったのは、BMW社でサステナビリティーに関する取り組みを統括するUrsula Mather氏(BMW Group, Head of Sustainability and Environment)である。Mather氏は講演で、消費者調査会社の米Nielsen社の分析結果を引き合いに出した(図1)。Nielsen社によると、環境や社会的影響に配慮した製品やサービスに追加の費用を払ってもよいと考える消費者の割合が、2011年から2014年の3年間で10ポイントも増加したという。

図1 サステナビリティーへの関心の高まり
図1 サステナビリティーへの関心の高まり
環境や社会的影響に配慮した企業が提供する製品やサービスに、追加の費用を払ってもよいと考える人の割合。2011年から2014年の3年間で、10ポイント増加した。Nielsen社の調査結果。
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