欧州で自動車アセスメントを手掛けるEuroNCAPは2015年8月、2020年に向けた最新の安全性能評価のロードマップを提示した(表)。自動ブレーキによる衝突回避の対象として、2016年に「歩行者」、2018年には「夜間の歩行者」や「自転車」にも対応する。

表 EuroNCAPの2020年までの主な評価項目のロードマップ
表 EuroNCAPの2020年までの主な評価項目のロードマップ
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 EuroNCAP前会長で現在Secretaryを務めるAndre Seeck氏は、2016年から導入する歩行者衝突回避の評価方法を2015年内に決定することや、2018年から夜間歩行者・自転車対応を加えることを明らかにした。

 EuroNCAPが導入する自動ブレーキの衝突回避の対象は先行車だったが、2020年までに段階的に歩行者や自転車に拡大する。交通事故による死亡者の多くが、クルマの乗員でなく歩行者や自転車乗員であるためだ。

 2016年に導入する歩行者試験では、歩行者に見立てたダミーに道路を横断させて、試験車両が自動ブレーキによって衝突回避できるかどうかを評価する(図1)。歩行者が道路を横断する場合に事故が多いという、実際の事故統計を基に策定している。

図1 歩行者検知・衝突回避の主な試験方法
図1 歩行者検知・衝突回避の主な試験方法
2016年から始まる歩行者検知・衝突回避試験では、歩行者ダミーが道路を横断する場合の試験車の衝突回避性能を評価する。試験方法では主に(a)対向車線からの横断、(b)進行車線からの横断、(c)物陰からの横断、の3通りの場面を想定する。
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 主な試験方法は(a)対向車線からの横断、(b)進行車線からの横断、(c)物陰からの横断の3通り。車速は20~60km/hで、5km/hずつ早めていく。ダミーの速度は人が歩くほどの速さ(5、8km/h)である。大人と子供、脚が動く物や動かない物など複数の条件を想定する。(a)から(c)になるほど、ダミーを認識してから停止するまでの時間が短くなり、衝突回避の難度が高くなる。自動車メーカーは短時間で歩行者を認識して、必要に応じて自動ブレーキで衝突を回避することが求められる。