クルマの「つながる」機能が普及段階に入った。インターネット通信を介して多彩な機能が使えるようになったが、利便性は自動車メーカーによって大きく異なる。“違い”を生むのがHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)だ。この点に着目し、自動車技術調査・コンサルティング会社の英SBD Automotive社が欧州メーカーの6車種を調査。HMIのユーザーエクスペリエンス(UX)を評価したところ、多くの車種について、まだ改善の余地があることが浮き彫りになった。

 今回、調査対象としたのは欧米で販売されているコネクテッドカーで、ドイツBMW社「7シリーズ」、同Daimler社「Mercedes-Benz Eクラス」、英Jaguar社「F-PACE」、ドイツPorsche社「パナメーラ」、同Volkswagen(VW)社「ゴルフ」、スウェーデンVolvo社「XC90」の6車種である注1)

注1)調査は車種により英国あるいは米国で実施した。評価の対象は、搭載システムのヘッドユニットからヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)、音声認識、スマートフォンとの連携、コールセンターなど、UX全体を網羅した。

 評価は、ユーザビリティー(システムの使いやすさ)と提供機能の数(機能数の多い順にAからスコアを付与)の2軸で実施した(図1)。ユーザビリティーは様々な評価の結果を重み付けしてスコア化している注2)。今回は特に、使い勝手に影響する7項目の指標について紹介していく。

図1 BMW社「7シリーズ」のHMIが最高スコアに
図1 BMW社「7シリーズ」のHMIが最高スコアに
(a)縦軸がシステムの使いやすさを評価した「ユーザビリティースコア」で、横軸が提供する機能の多さを示す「機能性スコア」である。僅差でDaimler社のインフォテイメントシステムが続いた。(b) SBD社が規定したユーザビリティースコアを評価する際に用いる7項目の指標。
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注2)ユーザビリティースコアは、複数のユースケースに対する7指標の評価の他、システム評価や走行中の操作によって生じる精神的負担(ディストラクション)の評価を一定の基準と照合し、重み付けをして算出している。ユースケースとしては、目的地の設定や車のリモート操作、音楽のストリーミングなどがある。システム評価では例えば、地図のレイアウトや操作ボタンの位置などを確認する。

 図1(b)に示した7項目のうち、「直感性」と「サポート性」で学習を要することなくすぐに簡単に使いこなせるかを判断した。「柔軟性」と「整合性」、「迅速性」から、一度覚えた後の2回目以降の操作がスムーズにできるかを評価した。「情報品質」と「表示品質」から入力に対するアウトプットが分かりやすいかを見る。