種はまいたが、思うように販売台数が伸びない。重点市場とするロシア市場の急落が一因だ。だがRenault社は、日産自動車との提携でコストを削減しつつ、投資の手を緩めない。光明はいつ差すのか。 (本誌)

 新興国市場を果敢に攻めるフランスRenault社。ただ市場環境が悪く、果実を得るのが先延ばしになっている印象である。2014年の同社の世界販売台数は、前年比3.2%増の271万台に達した(図1)。世界市場の伸び率とほぼ同じ。原動力は、ロシアを除く西欧地域の販売台数が同12.5%増えたことである。

図1 Renault社の販売台数予測
図1 Renault社の販売台数予測
2016年中期経営計画で目標とする販売台数には達しそうにない。ロシアAvtovaz社の販売台数は含まない。
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 直近の見通しは、まだら模様だ。2015年前期の決算によると西欧地域で、同地域の平均伸び率を上回る前年同期比9.3%増と好調だった。一方、世界販売台数は同0.8%増にとどまる。特にロシア・東欧地域や北・南米地域が、同16%減と苦戦している。中でもロシア市場が激しく落ち込む。それでもRenault社は、同国への投資を緩めない。この“逆張り”は、吉と出るのか。

 販売台数を見れば振るわないが、開発の仕組みは大きく改善している。Renault社と提携する日産自動車とのコスト削減策の効果が、2014年に38億ユーロに達した。大規模モジュール戦略の導入で、購買、製造、開発のコストを大きく減らすことができた。電気自動車(EV)は長期的な視野で見ねばならない。当面は、韓国LG Chem社との協業の行方が焦点だ。