度重なる不祥事の末、ついに日産自動車の傘下に入った三菱自動車。日産との協業の強化が予測される中、三菱の再生・回復に向けて何が戦略面でポイントになるのかを、分析してもらった。 (本誌)

[画像のクリックで拡大表示]

 2000年や2004年に発覚した大規模なリコール隠しなど、2016年に燃費不正が発覚する前から、不祥事を繰り返しては、信頼を失い業績低迷に陥ってきた三菱。そのたびに企業風土や事業体制の改革に向けた方針を打ち出し、本業では得意のSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)や電動化へのシフトを図るも、再生・回復の道のりは険しかった(図1)。

図1 三菱自動車の世界販売台数の推移
図1 三菱自動車の世界販売台数の推移
IHS Markit Automotive調べ。2015年までは実績。2016年以降は予測。
[画像のクリックで拡大表示]

 そうした同社の喫緊の課題は、リソースをより有効に使えるように配分して、健全な成長への軌道に新たに乗せることだろう。そこで大きな役割を果たすと目されるのが、新たに筆頭株主となった日産である。以前からの提携を通じて実施していた協業をさらに発展させ、競争力の強化につなげる必要がある。

 共同購買のような購買における協力や、車両プラットフォームや生産拠点の共用化、新技術の開発における分担など、日産と多面的に協力することで、三菱はリソースをより有効に生かせるようになる。併せて、三菱が選択と集中を推進・徹底することで、同社の強みにさらに磨きをかけることが可能になるはずだ。