本連載の第1回(2014年7月号)で解説した「可変バルブタイミング機構」は、ガソリンエンジンの効率を向上させる部品として普及しつつある。今後、さらに緻密に吸排気を制御していくためには、エンジンバルブのリフト量さえも可変制御させていくことが大切だ。

 吸排気効率をエンジン回転数の全域で高めるために、最近のエンジンには可変バルブタイミング機構が搭載されている。だが可変バルブタイミング機構は、バルブを開いている時間を変えることはできない。

 今回紹介する「可変バルブリフト機構」は、最大リフト量を変えることでバルブの開いている時間を調整できるものだ。単独の機構としても効果が望める装置だが、可変バルブタイミング機構の搭載が一般的になりつつある中で、さらに効率を高めるために採用されることが多い。可変バルブタイミング機構と組み合わせることで、より効果を発揮できる機構であるとも言える。

 可変バルブリフト機構を用いると、エンジンの出力要求に合わせて吸気バルブの開く量を変えることができ、低燃費と高出力を両立しやすくなる。燃焼室内に入る混合気の量や流入流速などを調整できるようになるためだ。