自動駐車システムは、駐車操作におけるストレスを軽減する。自動化レベルの向上によって、運転者の利便性や安心感は高まっている。同システムの仕組みや特徴、今後の進化の方向性などについて日立オートモティブシステムズとクラリオンが解説する。(本誌)

 日本社会の高齢化が進み、高齢者の運転操作を支援することはクルマ社会の喫緊の課題になっている。また、警察庁の交通事故統計によると、駐車を含む低速時の事故・接触がかなり多いことが分かっている。さらに、パーク24が行った運転テクニックに関するアンケート調査によると、「駐車」と駐車操作に必ず含まれる「後退走行」は、若者を含めて運転者の苦手な操作の上位に入っている。駐車操作の支援・自動化のニーズが高いことが分かる1)

 自動車技術に目を向けると、各種機構の電動化・電子制御化や、カメラ・超音波センサー・レーダーなどのセンシングデバイスの進化と低コスト化、マイコンの処理能力の飛躍的向上などがあり、自動化に向けた要素技術や周辺技術が整ってきた。

 これらの技術を用いた先進運転支援システム(ADAS)は1980年代ごろから実用化が始まり、自動運転の実用化に向けた開発競争は盛んになってきている。ここでいうADASとは、ACC(先行車追従)、LDW(車線逸脱警報)、AEB(自動緊急ブレーキ)などである。

 こうした状況は主な自動車メーカーだけでなく、米Google社をはじめとするIT系企業も巻き込んで大きな流れとなっている。今回取り上げる自動駐車システムは作動車速が低速域に限られるが、自動運転のマイルストーン(試金石)と言える。

 現在、市販車に搭載されているシステムは「駐車支援」である。欧州を中心に縦列駐車を支援するものや、日本を中心に車庫入れを支援するものなど様々なシステムがあるが、機能が限定されていたり、操作が煩雑だったりする課題があり、普及の途上にある。普及・拡大のためには今後、さらなる自動化と操作の洗練が求められる。